「婦系図」 新派百二十年記念 六月新派公演
2008.07.03 (Thu)
初めての新派公演。寝不足で行ったのが悪かった。一番盛り上がっていたであろう、主税お蔦の別れのシーンでどうにもいけなくなってしまう。後で、そのことを友人に話すと、あそこで寝るなんて、とバカにされる。(・・・されても仕方なし)
酒井先生に、女を棄てるか、それとも自分を棄てるか、と迫られ、私なら、はい、先生棄てます、と素直に答えるか、女を棄てます、と言っておいて、こっそりなんとかするか、なんて方法を選択しそうな気もするのですが、主税、そんな姑息なことはしません。この時代の師に対する礼節、というものに、はかりしれないものを感じました。先生にそこまで義理立てしなければならなかったのだなぁ。今のモンスターペアレンツ達に、この礼節を少しは知ってほしい気もします。
また、先生の前では、平身低頭していた主税が大詰め、馬丁の死に、金持ち河野に向かって先生の系図、身分を調べ上げたことを激しく責め、啖呵をきる、その変わりように驚いたのですが、その師への強い思いには、圧倒されそうになりました。
また、酒井先生も因果だなぁ。お蔦の死に泣くくらいなら、初めから生木を裂くようなことはせずにおればよいものの。それが、この時代だったのでしょうか。お蔦も、先生のお許しが出るまで、主税にこっそり会うようなことさえしないのだもの。
主税、お蔦の別れで、意識を半分失っちゃたので、一番泣けたのは、小芳が先生のお嬢さん妙子の髪を梳くところ。ここは筋書を先に読んでいて(原作、まだ読んでないの。すんません。)実は小芳は妙子の母だった、てことを飲み込んでいたので、ちょっとぐっとくるところでした。
河野のうちは河野家で、河野夫人とみ子の昔の不義が明るみに出、娘菅子が不義の子であることばれちゃって、いったいなんなんだ???的展開もすごかった。とみ子も、こんなところで、昔の不倫を明らかにされてしまうとは想像もしていなかったであろう。過去を暴かれた眼鏡をかけた市川升寿さんのとみ子の、驚いたような困惑したような表情が忘れられません。
その他、物を片付けるシーンが印象的。神社のお祭りで、お面などの物売りたちが、店仕舞いしたり、お蔦が妙子を助けるために乗り込んだ待合で、英吉、宮畑達相手に投げまくった豆やら、酒を片付ける仲居、あるいは、めの惣宅で、女房おますが仕事を終え、仕舞う鏡台。こうした小物を何気なく静かに、無駄な動きなく片付ける様子が自然で美しかったです。

