四月大歌舞伎 昼の部
2008.04.26 (Sat)
一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう) 十種香
橋之助、紫の袴でしなを作り登場する動きが美しい。そして、上手に後姿の赤の衣裳の八重垣姫、下手に黒の衣装の濡れ衣。歌舞伎座の空間を大きくつかって、絵を見るように美しく並ぶ。時蔵丈、勝頼の顔を正面からは見ることができずに恥らいつつも、大胆に駆け寄る様に、目が惹きつけられる。 柱巻きも美しくきまる。我當丈の謙信、大きさがあり、舞台を引き締める。錦之助丈、戦っている様子を様式化した動きに迫力がありみもの。
二、熊野(ゆや)
静岡県盤田市池田にある行興寺では、熊野が植えたといういわれのある、房の長さが1.5メートルにもなる立派な藤があるそうです。花道から現れた玉三郎。七三の立ち姿に、高貴さが滲み出して来る。江戸時代の能装束を復元した、深い金銀の輝きをみせる衣装。これは、機械織りの出来ないほど細い絹糸を手織りで、従来の1.5倍の量を使ったという、御所車、しだれ桜の浮き出たまことに美しいもの。その衣裳をまとった玉三郎丈の、病に伏す母親を思う気持ち溢るる面差しに、心を掴まれる。熊野と、宗盛、七三にいる間に舞台一杯に桜が咲き乱れる清水寺に転換する様子も見事。花見では、胸に憂いを秘めながらも、明るく舞う熊野。熊野の和歌に胸打たれた宗盛から東へと下る許しをもらい、別れを惜しみつつ、出立する熊野と、宗盛の風情が心に残る。
三、刺青奇偶(いれずみちょうはん)
これもまた、玉三郎丈が、素晴らしいお仲をみせてくれます。 とことんふてくされた様子をみせる玉三郎のお仲。ここまで世を捨てたような憎らしい様子をみせられても、それが嫌味に感じられることは無く、お仲の今迄通ってきた男運のない人生を垣間見せ、哀れさを醸し出しながら、勘三郎の半太郎に縋り付く一途な思いが切々と伝わってきます。仁左衛門丈、腹から響く声で、鮫の政五郎の懐の大きさをみせてくれます。終盤、勘三郎丈の額にてらてらと光る血糊の色が、痛ましい。息も絶え絶えの、半太郎、金を手にしたものの、家に辿り着くまでに倒れ伏さないか、また、お仲の息のあるうちに間に合うのか、などといろいろ想像して重い気分になる。今月夜の部「浮かれ心中」の幕切れで味わった、浮き浮きする気分とは全く正反対の負の感情を背負い、家路についた私でした。
それでは、いざゆかん、成田山新勝寺!!!
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